口当たりの柔らかさが感じられる「ピエモンテワインの女王」
同じく単一でNebbiolo(ネッビオーロ)種から造るバローロが「ワインの王様」と呼ばれているのに対し、バルバレスコは「ピエモンテワインの女王」「バローロの弟」とも称されますが、「女王」の方がしっくりとくる優美なワインです。同じMarroneの手によるネッビオーロでありながら、ミクロクリマの違いを感じることが出来るバローロとの飲み比べも楽しんでいただくことが出来ます。ただバルバレスコがいくら女性的と言っても、しっかりとした骨格をもった重厚なワインであることには変わりません。こちらも20年以上の長期熟成にも耐えられます。収穫は10月第3週がめどで手摘み作業。選りすぐりのブドウの選択と余分な雑味が出ないよう徐梗作業は細心の注意を払い行う。マセラシオン発酵は28度〜30度の温度で約25日間。その後、約70%の分量を30HL(3000リットル)の大樽、そして30%の分量はバリック樽を利用し発酵を続け、約20か月樽内で熟成。その内8か月は「バトナージュ」(樽熟成中のワインの攪拌作業)を行い、酵母の香味成分をしっかりとワインに風味づける。ボトル内熟成は約12か月。
AIS認定ソムリエ
クオルス・イタリア駐在員
小関智子 Tomoko Koseki
Famiglia Marroneファミリア・マローネ/ ピエモンテ
世界遺産の丘陵で繊細で優美な「バローロ」を作る三姉妹のワイナリー
ピエモンテの州都トリノから車で1時間ほど走ると、世にも美しいブドウ畑にたどり着く。なだらかな丘陵に規則正しく列をなすブドウの木。世界遺産にも認定されたこの絶景の中で、静かに、「ワインの王」と呼ばれるバローロが醸されている。「ファミリア・マローネ」は北西のラ・モッラ地区にあり、なめらかで香り高いワインを生み出すことで知られる。次女セレーナ曰く「マローネ家の出発点は、私たちの曾祖父Pietro(ピエトロ)の代からで、すでに100年を超えて今日に続いています。現在の事業を担っているのは4代目となる、Denise(デニーゼ:長女)、私 Serena(セレーナ:次女) とValentina(ヴァレンティーナ:三女)のマローネ三姉妹。私たちにもやっぱりその哲学が自然に受け継がれているわね。皆で常に未来を見据えながら、良いワイン造りはブドウ畑での惜しみない手間をかけた作業なしにはあり得ないという信念と、それに基づいた情熱をもって仕事に取り組んでいるわ。そしてその作業を通じて、この土地へのリスペクトの念も自ずと生まれることを実感しているの。ワイン造りの工程は大胆で力強く、でも仕上げるワインの味は女性の作り手らしく繊細で優美なもの、だけど主張はしすぎないもの、そんなワインを追求しているの。例えるなら、人生の輝けるほんの一時をともに過ごす素敵な仲間であるような、そんな心地よい存在として認識してもらえたら最高ね。そう、そこにはまるで私たち三姉妹も一緒に「乾杯〜」と参加しているみたいにね